はじめに
火葬をどこに頼むか、私は決して十分な時間をかけて選べたわけではなかった。気持ちの整理がついていないまま連絡先を探し、目に入った業者にそのまま頼んでしまった部分がある。あとになって、確認しておけばよかったと思うことがいくつも出てきた。
この記事は、そのときの経験をもとに、業者を選ぶ・依頼する際に確認しておきたいことをチェックリストの形で整理したものである。すでに調べ始めている人も、まだ何も調べていない人も、今すぐ全部を確認しなければいけないというものではない。手元に置いておいて、必要なときに見返してもらえたらと思っている。
私が実際に確認したこと
その子を見送るとき、火葬の方法については家族と相談し、個別火葬・立会いという形を選んだ。どこで見送るか、収骨まで見届けるかどうかという大きな部分は、家族との話し合いの中で決めることができたと思っている。
ただ、業者そのものを選ぶ段階になると、話は少し違っていた。悲しみの中で、いくつかの業者のサイトを見比べてはみたものの、料金表に書かれている数字が何を含んでいるのか、追加でかかる費用があるのかどうかを、当時の私はきちんと確認しきれていなかった。「基本料金」という言葉だけを見て、それで全部だと思い込んでいた部分があったように思う。
キャンセルや日程変更について確認したかというと、それもできていなかった。当日の流れがどうなるのか、立会いができる範囲はどこまでなのか、その場になって初めて分かったこともあった。幸い、大きなトラブルにはならなかったけれど、あとから振り返ると、確認しないまま進めてしまったことが多かったのだと気づいた。
今の私なら: 見積もりの内訳と総額だけは、依頼する前に書面で確認すると思う。ただ、当時の自分にそれをする余裕があったかというと、正直分からない。
こうした経験があったので、次に同じような場面に立つ人がいるなら、確認しておくとよさそうなことをあらかじめ知っておいてもらえたらと思い、チェックリストとして整理することにした。
チェックリスト
ここからは、確認しておきたい項目を淡々と整理していく。
依頼前に確認すること
- 見積書を書面(メール・紙どちらでもよい)でもらえるか
- 見積もりに記載されている金額が総額なのか、それとも一部の費用のみなのか
- 基本料金に何が含まれているか(火葬・収骨・骨壺・霊柩車の使用等の内訳)
- 追加料金が発生する条件はあるか、ある場合はその金額
- 体重・サイズによって料金が変わるか、その基準はどこにあるか
- キャンセル・日程変更の条件と、それにともなう費用の有無
- 支払いのタイミング(依頼時・当日・後日等)と方法
こうした項目を確認する背景には、国民生活センターが発信している見守り情報の中で紹介されている相談事例がある(出典:国民生活センター見守り情報「もしもの時に慌てないように!葬儀サービスのトラブル」https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen475.html)。そこでは、インターネットで見つけた業者に出張火葬を依頼したところ、料金の説明が十分でないまま火葬が始まり、火葬の途中になって高額なオプション料金を提示され、最終的に当初の表示額の何倍もの金額を請求されたという相談事例が紹介されている。
もちろん、こうした事例がすべての業者に当てはまるわけではないし、大半の業者は誠実に対応しているはずだと私は思っている。それでも、悲しみの中では冷静な判断がしづらく、いったん始まった火葬を途中で止めるのも難しいということは、誰にでも起こりうることだと感じた。だからこそ、「備えとして」依頼前に見積もりと総額を確認しておくことには意味があると思っている。
当日までに確認すること
- 返骨の有無(遺骨が戻ってくるのか、戻らない形式なのか)
- 返骨までにかかる日数、受け取り方法(当日持ち帰り・郵送等)
- 立会いの可否と、立会いができる場合の当日の流れ
- 合同火葬か個別火葬か、その違いが料金や流れにどう反映されているか
- 訪問(出張)火葬の場合、対応エリアと出張料の有無
- 夜間・早朝など時間帯によって料金が変わるかどうか
- 当日の持ち物・準備しておくもの(あれば)
このあたりは、依頼する段階では気持ちの余裕がなく、後回しにしてしまいやすい部分でもある。すべてを事前に確認できなくても、少なくとも返骨の有無と立会いの可否だけは、依頼前に一度言葉にして確認しておくと、当日の戸惑いが減るように思う。
迷ったときの確認先
- 体のこと、亡くなった経緯について気になることがあれば、かかりつけの獣医師や地域の獣医師会に相談できることを知っているか
- 契約内容や料金の説明に納得できないと感じたとき、その場で無理に即決しなくてよいと分かっているか
- 支払いをめぐるトラブルや、説明と異なる請求があった場合、消費生活センター(局番なしの188)に相談できることを知っているか
- 家族など、決定を一人で抱え込まずに相談できる相手がいるか
契約内容に納得がいかない、あるいは説明されていた条件と違う請求をされたと感じた場合は、消費生活センターに相談するという選択肢があることも、知っておいて損はないと思う。ただしこれは、業者を疑ってかかるための情報ではなく、あくまで「もしものときの備え」として持っておいてほしい知識だと考えている。
すべて終えられなくても
ここまで挙げてきた項目を、すべて事前に確認できる人ばかりではないと思う。私自身、悲しみのただ中で、これらの多くを確認しきれないまま依頼を進めた。それでも、大きな問題にならずに見送ることができた。
チェックリストはあくまで目安であって、全部にチェックが付かなければいけないというものではない。確認できなかったことがあったとしても、それを責める必要はない。むしろ、あとになって「確認しておけばよかった」と思うこと自体が、多くの人に共通する自然な経験なのだと思う。
おわりに
業者選びで確認しておきたいことを、私自身の経験をもとに整理してきた。ここに挙げた項目がすべてではないし、状況によって優先順位も変わってくると思う。それでも、何も知らないまま進めるより、確認しておきたいことの形を知っておくほうが、当時の自分にとっては助けになったはずだと感じている。
急いで全部を確認しなくてもいい。分からないことがあれば、業者に聞いてかまわないし、家族に相談してもかまわない。それは何もおかしなことではないはずだ。
一人で抱え込まないために
ここに書いたのは、あくまで私自身の体験に基づく一つの記録であり、医学的な診断や治療法を示すものではありません。 もし当てはまるようであれば、無理をせずに、下記のような窓口にも相談してみてください。
- 動物の体調や医療的な疑問がある場合:かかりつけの獣医師、または地域の獣医師会
- 強い落ち込みや不眠が続く場合:公認心理師・臨床心理士などによる専門のカウンセリング機関
- 心身のつらさが強いと感じる場合:お住まいの自治体の精神保健福祉相談窓口など、公的な相談機関
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